車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)運転技能講習

2022年08月20日

 厚生労働省が管轄する労働安全衛生法関連の国家資格には大きく「免許」、「技能講習」、「特別教育」、「安全衛生教育」の4区分がある。免許は衛生管理者やクレーン・デリック運転士など20種、技能講習は車両系建設機械や小型移動クレーン、玉掛けなど42種、特別教育は伐木や酸素欠乏など38種51区分、安全衛生教育には刈り払い機や丸のこなど19種がある。これらの免許・講習は内容が同じでも機体質量(~t 未満・以上)で区分が分かれるものが多い。ここまで種類が多くなったのは、労災事故が増えたためだろう。

 今回はトラクターショベル(ホイールローダー)やドラグショベル(ショベルカー)に乗ることができる作業免許を取得するため、新潟市北区のコベルコ教習所で講習を受けた。私は公道を運転する大型特殊運転免許を所持しているため、講習時間は14時間(2日間)であった。免許がない人は38時間(6日間)講習となる。業務で必要な若手ならまだしも、趣味で取得を考えている人は、まず大型特殊運転免許の取得が無難だ。

(小さな赤丸がコベルコ教習所受付、大きな丸のエリアが砂利や土砂をすくう教習場所。道路を挟んだ画面右下にもコベルコの屋内教習所があり、小型移動式クレーンやフォークリフトは全天候で教習ができる。Google mapよりスクリーンショット。)

(教習所内は撮影禁止。雰囲気が分かるよう、敷地内のコベルコ建機整備場の車両を。)

 初日の教習開始は8:45から。長岡を7時前に出たのだが、8時すぎには到着してしまった。似たような教習生も多く、駐車場内で早くから待っている受講生も結構いた。

 受付は8:30からで、当日提出資料がない人は免許証の提示のみ。昼食には外部のお弁当を注文でき、券売機で400円の食券を購入すると、お昼に引き換えることができるシステム。

 2階には自販機と広々とした飲食スペースがあり、廊下を挟んで教室が2つ。明るくてトイレも清潔感があり、本当に建設業の講習なのかと疑ってしまうほど。教室は感染症対策で2人掛けの座席に一人が座り、ついたてを隔てて前後左右には誰も座らない環境。受講生は私を入れて8人で、見た感じ全員が経験者・関係者。だって作業着を着こなし、社名が入ったヘルメットには各種講習のシールが。パンツにパーカー、コメリの安物の真っ白ヘルメットの自分は完全に素人丸出しである(笑)。

 初日は10分間の休憩と45分の昼休憩をはさんで各コマ1時間の座学講習が午前3時間、午後5時間ぶっ通しで続く。講師は建設業で施工管理を行っていたというベテランで、異業種の私は目から鱗の興味深い内容だった。単に安全第一を連呼する内容ではなく、適切な機材選定と作業計画が経営にも関わってくるなど、現場の施工管理を理解した講師ならではの授業であった。

 2日目は1時間目に法規、2時間目に学科テストを行い、3時間目からいよいよ実技となった。実技はバックホウ2時間、ホイールローダー3時間を行い、その後ホイールローダーを使用して試験を行った。

 コベルコのバックホウはJIS規格のレバーのため、左手で左右旋回とアーム押し引き、右手でバケット掘削・放出とブーム上げ下げを行う。事前にYouTubeやスマホのアプリゲーム(重機でGo-ショベルカーPLUS-)で遊んでいたため、上手く操縦できた。

 一方のホイールローダーでは、前進しながら土砂をすくい上げ、バケットを下ろしながらバック、ダンプが来たと想定してバケットを持ち上げながら近づき3回に分けてダンプ。実際にはダンプはいないが、想像力を働かせてアオリに当てないようにバックする。これを3回繰り返す。

 ホイールローダーはバックホウと異なりレバー1本で作業を行う点、作業ブレーキを効かせながらアクセルを踏んで回転数を上げながらバケット操作をするという点で、バックホウ以上に難しく感じた。

 今回の教習で、事故が増えると免許の種類が増え、講習時間が長くなること、適切な機材選定と作業計画の策定が必要なことなどを学んだ。教習所で学ぶ安全確認だが、実際に各現場で行われているとは考えづらい。そもそも、全員が3t以上の建設機械に乗ったことがないはずなのだが、若い受講生までスルスル運転する。「敷地内だから無免許でも乗れるんですよ~」なんて言っている子がいたが、それは運転免許の話であって、業務の一環で乗るのだから厚労省の免許的にはアウトだろう(笑)。コベルコ教習所の先生方にはこの点も理解して頂いたうえで、初心者でも安心して受講できる雰囲気を大切にして頂きたいと思う。建設業を理解する貴重な経験となった。