水無川扇状地

水無川橋

新潟県南魚沼市浦佐・魚沼市十日町

(県道573号)

 扇状地とは狭い山間部を流れる急流河川が平地に出た時、流れが弱まることで土砂が扇状に堆積してできた土地である。(小学校5年生くらいで果樹園などに向いていると習う。高校地理では笛吹川扇状地や富山県の黒部川扇状地等がセンター模試の例題として頻出だ。)

 新潟県内では胎内市の胎内川扇状地が有名だが、個人的には大きすぎて実感が湧かない。南魚沼市の水無川はその名の通りいつ通っても水がなく、扇状地の好例ではないかと考えて取材した。

 Googleマップを見やすく加工。扇状地は実際には単独ではなく、複数の河川による扇状地が重なっている場合が多い。水色で書いた部分が水無川の作用で堆積した(であろう)エリア。今回はA地点の県道573号水無川橋(扇端)、B地点の国道17号水無大橋付近(扇央)、C地点の水無橋(中流部)、D地点の大倉橋(上流部)、E地点の高石上流第2号砂防堰堤(渓谷部)の順に紹介する。

A地点 県道573号水無川橋(扇端)

まずは下流側、信濃川への合流まで500m地点に来た。

その名も水無川橋。

下流、信濃川との合流地点方向。2023年9月という大渇水の時期に訪れたが、伏流せずに流れている。

水無川橋から上流方向。右奥に見えるのは魚沼基幹病院。用水路の放流口があり、そこから先は水が流れていない。

B地点 国道17号水無大橋付近(扇央)

国道17号浦佐バイパスが水無川を越す、その名も「水梨大橋」付近。農道わきに車を停め、ドローンを離陸。

ドローンで上流方向。本当に水が流れていない。

水無大橋付近から下流方向。奥に、先ほどいたA地点の水無橋が見える。右手にブルボンの魚沼工場、左手に魚沼基幹病院が見える。

水無大橋付近から扇状地の上流方向を望む。

C地点の水無橋(中流部) 

中流域まできた。ここは水無橋という。似たような名前の橋ばっかりだな。

みずなしばし。

水無橋から下流方向。一滴も流れていない。

水無橋から上流方向。床固工の部分に水が留まっているのが見える。そこのコンクリートを越えられないものは伏流するのだろう。

水無橋右岸の土手からドローン離陸。見事に砂利しか見えない。だが、土手や中州に緑が見えるので確かに水が伏流していることが窺える。

D地点の大倉橋(上流部) 

サイクリングロードがある大倉橋付近にきた。ここも床固工がされているが、中流域より水量が明らかに多い。

反対の場所に階段を見つけたので降りてみる。

大倉橋付近よりドローン離陸し、下流側を望む。高度150mが限界なので、扇状地らしさが感じられないのが残念だ。Google Earthでみたら高度600mくらいだと扇状地であることが分かる(笑)

だがしかし、上流方向を望むと扇状地のはじまり(扇頂)が確認できる。ここは渓谷の終わりであり、人里の始まりである。

より上流へ

上流まで県道265号をぐんぐん登っていくと金山橋という橋が架かっていたので寄り道してみる。

金山橋。

岩盤がしっかりしているので伏流せず、水深も30cm程度ありそうだ。1m~5mほどの岩がゴロゴロしている。

これは川床の岩盤であろうか。

E地点 高石上流第2号砂防堰堤(渓谷部) 

さあいよいよ、車でこれる最上流部に到達。砂防堰堤の手前にある岩は赤褐色に汚れていた。

高石上流第2号砂防堰堤が見えてきた。手前に高さ7,8m、何十トンあるのか、という大岩が転がっている。これが転げたらあんな砂防ダム粉砕だろう。

高石上流第2号砂防堰堤の内側。普段は土砂が堆積し、その上に水が一定量溜まっているのだろうが、今は大渇水。ほとんど水はなかった。鷺が二羽止まっていたが、こんなところに魚がいるのだろうか。

帰りは県道とは反対側の市道で山を降りる。とんでもない場所にダムを造ったものだ。人間とは恐ろしい。