酸素欠乏・硫化水素危険作業特別教育
労働安全衛生に関係する免許制度には、上位から順に免許、技能講習、特別教育、安全衛生教育の区分があるが、今回は日本DMATになったことと、とある事故の発生を受け、いわゆる酸欠作業について知識を深めようと、インターネットを利用したe-learningで完結する特別教育を受講した。
長岡市立中央図書館の事故
2023年6月5日の夕方17時前、長岡市立中央図書館で作業員男性2名が死亡する労災事故が発生した。トイレの改修工事中に排水溝に通じるマンホール内で事故は発生した。当時、作業は計画外で行われ、酸欠を知らせる検知器は使用されていなかったという。
DMAT隊員として知っておくべきこと
DMATとして現場活動を実施する中で、多数傷病者が発生した現場に出向くことがあるとする。(恐らくこの先の人生で経験することはないとは思うが、)無差別殺傷やバス事故のように、傷病の発生原因が明らかなものだけでなく、CBRNE災害(それぞれ化学:Chemical、生物:Biological、放射性物質:Radiological、核:Nuclear、爆発物:Explosiveの頭文字)に遭遇する可能性もある。オウム真理教が地下鉄サリン事件を起こしたとき、消防への第一報が「地下鉄での爆発事故」であったように、突然、多くの傷病者が発生した場面では、「目に見えない何らかの危険物質」が周囲に存在する可能性がある。
地球の空気中の酸素濃度は約21%であり、これが安全限界の18%を下回ると酸素欠乏状態となり、16%で頭痛や嘔気、12%で筋力低下やめまいを発症し、8%では失神し7,8分以内に死亡、6%まで下がると一呼吸で意識を失い死亡する。対策としては酸素が欠乏する(硫化水素が発生するなどして相対的に酸素割合の低下する )場所の特徴を知り、近づかないこと、ガス検知器を使用して危険場所に立ち入る際には一人で作業をせず、継続して換気をするなどの対策が考えられる。
主な酸素が欠乏する可能性がある場所(原因)
・換気のされていないトンネル、井戸(土中の微生物の呼吸)
・マンホール、下水道(菌や硫化水素の発生)
・穀物を貯蔵するサイロ、発酵タンクや酒樽(発酵によるCO2発生)
・船倉内部、ボイラー内部(鉄の酸化による酸欠)
新潟県では過去にも八箇峠道路の建設中のトンネルで、引火性のメタンガスが爆発し4人が死亡する事故が発生している。危険物や危険な状況に対する知識について、継続して収集していきたい。
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