一般毒物劇物取扱者

2022年12月05日

 毒物劇物取扱者は保健衛生上の危害を防止するため、毒物及び劇物取締法に基づき毒劇物の製造・輸入・販売業者に配置される国家資格である。薬剤師、厚生労働省令で定める学科を修めた者、各都道府県の行う毒物劇物取扱者試験に合格した者がなることができる。

 ただし、①18歳未満の者、②心神の障害で業務が行えないもの、③麻薬、大麻、あへん、覚せい剤中毒者、④毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金刑以上に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない者はなることができない。

 毒物や劇物ときいて何を思い浮かべる思うだろうか。農薬や殺虫剤、殺鼠剤のほか、乾電池やマッチなどの工業用材料、香料や釉薬といった産業にも使用されていて、我々の日常生活でお世話になる製品は必ずといって良いほど毒劇物の恩恵を受けている。

 新潟の道路探索屋はド文系である。高校時代に数学・化学が致命的にできなかったコンプレックス(?)から、大学時代に危険物取扱者の資格にチャレンジした。危険物は乙1~6までコンプリートしたので、高校化学の知識を活かせる毒劇は以前から挑戦しようと考えていた。

 毒劇の試験は各都道府県で年に1回実施されているため、過去問を見て問題数や難易度(過去数年の合格率)と相談して受験地を決めるのが良いだろう。受験料は10,500円と高いため勇気が出なかったが、当直明けの疲れたノリで保健所(県地域振興局健康福祉環境部)まで願書を請求しに行き、銀行で県収入証紙を購入し申し込んだ。

 試験はすべての毒劇物を取り扱える「一般」と、それぞれ一部しか取り扱うことのできない「農業用品目」、「特定品目」の三区分の試験がある。令和4年度の試験結果を見ると、一般受験者が242人(うち合格133人)、農業用品目が142人(同57人)、特定品目が6人(同3人)となっており、大半の受験者が一般を受験している。他県にも言えるが、農業用品目も特定品目も法律は一般と同じ内容であり、過去問の難易度も一般と同等(下手したら一般の方が簡単)であるから、新規受験者は「一般」の受験を勧める。

 試験は「①毒物及び劇物に関する法規」、「②基礎科学」、「③性質及び貯蔵その他取扱方法」、「④識別及び取扱方法」の4科目ある。新潟県は各科目10問の計40問で、各科目40%以上、全体の60%以上正解で合格となる。ネックとなるのが③および④であり、教科書に出てくる薬品の性状(固体か液体か、色は何色か、辛味や着色を要するか、何に使用される薬剤か等)を丸暗記する必要がある。(新潟県の場合は化学式の暗記まで要さない。)

 個人的には②基礎科学も自信がなく、新潟県ホームページで過去問を印刷し、出題範囲を確認、アマゾンで高校化学の教科書を購入して「元素周期表→金属結合やイオン結合の違い→金属のイオン化傾向→アルカリ土類金属の炎色反応→pH指示薬の変色」などを復習した。(試験の基礎化学では、これらすべて出題された。)

 試験は令和4年11月5日の午前、新潟市の産業振興センターで行われた。長岡からだったので1時間前には会場駐車場に到着したが、会場内には試験受付時刻の20分前にしか入場できず、トイレを借りに新潟市消防局まで行くハメに…。広い会場には工業高校・高専生と思われる10代の若者から、自分のような資格マニア(あるいは理系オタク)、農業で必要そうな50代のオジサマなど、受験者層が分かれていて興味深かった。女子は圧倒的に若者が多かったように思う。

 試験時間は十分に用意されており、開始40分後から退出可能。問題冊子は持ち帰ることができた。今回の試験官は動員組が多いのか、指示が出せる試験官と誰かに聞かないと動けない試験官に二分されていたように思う。また、合格証も「A4封筒に裸で合格証が1枚入っており、送り状の添付もなく、配達時のヨレ・折れがある状態」で郵送されてきて、「県の感染症対策・薬務課はコロナ対応でそれどころじゃないんだよ」感がすごかった。1万円も払ったのだからクリアファイルに入れてほしかったな…(資格マニアにとって合格証は戦果でありコレクションなのだからww)。

 ただ、新型コロナウイルス渦で戦う同業者(?)として、感染症流行下においても試験実施をしていただいた県関係者には感謝したい。